T'z Aiko
Interview
T’z Aiko-手錢葵子 ( 以下、T’z Aiko )さんの生い立ちついて伺っていきたいと思います。
それにしても「手錢」さんというお名前、間違いなく珍しいですよね。
間違いなく珍しい…です(笑)
読み方も含め、同姓同名の方にはお会いしたことはありません。
祖父の代で関東に出てきたようですが
「手錢」という名字のルーツは島根県の出雲大社にあるらしく
向こうには「手錢記念館」なるものがあります。
ー記念館があるなんて「手錢家」とは一体…!
出雲大社は縁結びで有名なスポットですよね。
初めて聞いたときは私も驚きました。
そうですね、縁結び……確かにそれを思うと、今日までのご縁というのは
「出雲大社」の恩恵を受けて、なのかもしれません。
そうそう、記念館は本家の手錢さんが管理されているのですが
展示室の蔵の中に何故かグランドピアノが置いてあるのです。
なのでひそかな野望を抱いてます…(笑)
ー…手錢家に所縁のある手錢さんが、手錢記念館でコンサートを開催?
それってものすごく素敵な企画じゃないですか!
ちなみに先ほど、お祖父さまのお話が出てきましたが
みなさん楽器ができる音楽一家なのでしょうか?
楽器ではありませんが、音楽・芸術の家系ではありますね。
両親はラジオ番組の制作をしていて、祖父はSUZUKIのSマークやN700系の車両デザイン、NISSANの車である初代プレジデントなどを手がけたインダストリアルデザイナーでした。実は公式サイトの「Tz」マークも祖父が手がけたデザインを拝借しています。
ーご両親がラジオ制作者でお祖父さまがデザイナーとは類稀なる芸術一家ですね。
ロゴマークにそんな経緯があったとは「Tz」のデザインが感慨深く感じられますね…!
こういった環境下に生を受けたことをとても感謝しています。
知らず知らずのうちに、家族の影響を受けているのかもしれません。
Encounter with Music
ーそれでは T’z Aiko さんが音楽を始めたきっかけや年齢をお聞かせ願えますか?
幼稚園の先生に憧れを持ったのが最初です。
昔から歌うことが大好きだったのですが、自分から初めて興味を示した習いごとがピアノで、5歳頃から友だちのお母さんに習っていました。
ー最初からプロを目指していたのではなく、歌やピアノが音楽の第一歩だったのですね!
その後、サックスに出会ったのでしょうか?
はい!当時はプロになるとは思っていなかったので
バスケやスイミング、空手と並行しながら楽しくレッスンに通っていました。
転機となったのが、上野樹里さん主演の映画「スウィングガールズ」です。
その影響を受けて、中学校の吹奏楽部で主人公が担当していたサックスを希望しました。
ースウィングガールズは吹奏楽部のお話でしたよね、印象深かったので記憶に残っています。
確かにあの映画に憧れて楽器を始めた方も少なくないかもしれませんね。
それにしてもピアノを習っていたのにスポーツもされていたのですね、これはまた珍しい!
自分が興味を持った習い事をとことん好きにやらせてもらっていた時期ですね。
こんなにも自由にピアノのレッスンを受けていたのは、日本では私くらいなんじゃないかと思ってしまうくらい、ゆる〜〜く頑張っていました(苦笑)
練習はしたくないけど怒られるのは嫌、でも弾けないと思われるのも嫌、という謎のプライドを持っていたので、よくレッスン日当日に自宅から先生の家へ向かう間の車で譜読みをしていました。
ー車の中で譜読み!?すごいですね。
短時間で楽譜を譜読みできる能力が培われそうです(笑)
ほんとその通りで初見能力だけは上がっていたと思います。
そのおかげか高校や大学の受験で課題だった新曲視唱や初見演奏は難なくパスできました(笑)
Student Days
ー高校は県立で唯一の音楽科がある弥栄高校に進学されたんですよね。
そのまま高校でもピアノとサックスを続けていったということでしょうか?
公立で音楽を勉強できる学校があると聞いて、受験の前に体験授業なるものに行ったのですが個性的すぎる先生たちから学ぶ環境が素晴らしすぎて即決。
高校入学後は専科としてサックス、副科としてピアノのレッスンを受けていました。
クラシックのサックスを本格的に学び始めたのもこの時期ですね。
ーその後、東京音大に進学という流れですよね。
その頃にはもう今の道を志し始めていたのでしょうか?
実は高校の出願時もそうだったのですが、楽天家すぎる性格ゆえ、ギリギリになるまで進路のことは正直あまり考えていなくて(笑)気がついた時には当たり前のように音大進学の流れになっていたので…クラシック音楽を学べる大学へ行ければいいかなぁとしか思っていませんでした。
そんな時、大学の説明会先で恩師と出会い……「プロとして生き残るのに必要なものは-運と人脈-」当時の自分に衝撃を与えるには充分過ぎるその言葉だけで東京音楽大学への進学を専願しました。
でも、プロの道を志すとはまだ決めかねていたと思います。
というのも、この辺りで私のバイト生活が幕を開けるので(笑)
ーバイト生活!?”クラシックを学ぶ音大生”とはかけ離れたワードが…!
…それにしても、大学の説明会ということは高校3年生ですよね。
その歳で「運と人脈」というワードを聞かされることになるとは…
その言葉だけで進学を決める T’z Aiko さんも思い切りましたね。
そうかもしれません(笑)
今でこそ、あの時に恩師が言っていたことはこういうことなのかと実感できますが
当時はそこまで理解が追いついていなかったと思います。
ですが、この方はきっとすごい方で先生の傍で勉強したら何か見えるかも、と直感したのは確かです。
ーその考えと直感は間違っていなかったということでしょうか。
気になるバイト生活のお話も聞かせていただけますか?
はい、そのおかげで今の私がいると言っても過言ではないですね。
時として「音楽や専門職の人は素晴らしいけど、それ以外のことには無頓着な人が多い」場面を目の当たりにして、何故そうなってしまうのか自分なりに考えた結果「組織に入って働いたり、一般社会人として経験できる機会が少ないから」という答えに至ったのです。
それから「たかがアルバイト、されどアルバイト。」という言葉をモットーに、自分が思いつく限り、たくさんのアルバイト先で「働く」ということを経験させてもらいました。
まずはオリエンタルランドのOJTを10代のうちに受けたかったのでディズニーキャストを、そして話題性がある分、心身ともに鍛えられると噂の東京ドームのビールの売り子を始め、TVやイベントにおいて司会業やモデル業、企業を対象とした接客業、OL業など、音楽以外の多種多様な業種で働いていくうちに「組織での動き方」を段々と学んでいくことができて「人脈と経験」を培っていきました。
ー仮にその考えに至ったとしても行動できるところがすごいです。
10代/20代前半、しかも学生のうちにそれだけの職種をご経験されている人はなかなかいないのではないでしょうか。色々と得られるものがありそうです。
「人生は1回きり」ということで、後悔しない行動を心がけるようにしています。
学生時代はとにかく吸収したくて、がむしゃらに動いていましたね。
それこそ20歳くらいまでは多少の無理もできたので
何個もアルバイトを掛け持ちしてバイト戦士と化していました(笑)
あとは色んな職場で幅広い年代の方々のお話が聞けることが本当に楽しくて。
それでいて自分のお金にもなるし、一石何鳥だったんでしょう。もはやプライスレス!
ただ、やはり学業が本業なので、支障が出ない程度に調整して……
その甲斐もあって、今に一番活きているスキルは「スケジュール管理能力」ですね。
ー若いとはいえ体調面含め、しっかり管理されてたんだろうなぁ…
疎かになりそうなところですが、学業も両立されていたのは素晴らしい。
何においても役立つスキルですね!
自分の経験を今後に活かせるのって、誰にでもできることではないと思います。
それで結局は「音楽」の道をメインに考えたということですよね?
音楽をメインに捉えたというより、その表現方法の一つが
私にとっての「音楽」だったという表現が適切でしょうか。
もし私が踊れる人間だったら「ダンサー」だったかもしれませんね(笑)
エンターテイメントを通して人の心を動かすことが好きなんだと気がつくことができました。
ーそういった経験を通して大学卒業後も多様なお仕事をされているというわけなのですね。
欲張りなんです(笑)それでいて何かを疎かにはしたくないプライドがあるので…(笑)
最近は請け負っている仕事が異業種すぎて、自分の職業を聞かれると困ることもあります。
ーピアノレッスンの頃から発揮してた負けず嫌いのプライドですね(笑)
確かに整理してみると、サックスの他に楽器はピアノに歌、あとは実技レッスンやソルフェージュ、音楽理論のインストラクター、司会業としてリポーターやナレーター、インタビュアー、モデル…本当に異業種ですよね。
結果「なんでもやさん」です。
つい最近の話では、資格を取った関係で、アドバイザーやコンサルタントもできるようになったので新たな講座も開講できるようになりました。準備が整い次第、改めて告知します。
ーお!なんでしょう、楽しみにしています。
個人的に気になるのですが、ポジティブでいられる秘訣とかってあるんですか?
「いつでもどこでも楽しむ」
こういったポジティブなスタンスをもって、毎日の中で如何に楽しみを見つけられるか考え続けることでしょうか。
まだまだ勉強中なことはたくさんあるので、向上心や好奇心、持続力は常に持ち続けていきたいですね。
And finally...
ーありがとうございます。最後にまとめの一言をお願いします。
何よりこんなにも健やかにのびのびと育ててくれた両親を始め、応援したり見守ってくれる家族、友人、知人、ファンですと言ってくださるみなさま…関わりのある全ての人たちに心から感謝しています。
みなさんがいるから私は今日もハッピーに生きていくことができると常々思っています。
これからも精進します!最後まで読んでくださってありがとうございました。
T’z Aiko-手錢葵子